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October 02, 2006

市場から調達するか、少数の供給者から調達するか

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第147号 2006/10/2
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] WEB2.0の世界では、資金さえ必要ない
▼ [グーグルの衝撃] 日経「Web2.0革命の旗手たち」
▼ [グーグルの衝撃] IT革命論者が描く未来像
▼ [グーグルの衝撃] コア・コンピタンスを短期的に見てはならない
▼ [グーグルの衝撃] 外注は市場から調達しないという手
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。

このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。

「グーグルの衝撃」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー グーグルの衝撃」
( http://www.kei-it.com/sailing/back_google.html )を参照して
ください。

または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
左列にあるCategories「グーグルの衝撃」をクリックして
ください。


バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/
バックナンバーブログ:http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/

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[グーグルの衝撃] WEB2.0の世界では、資金さえ必要ない
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下記は「ウェブ進化論」の著者である梅田望夫氏のブログからの
引用です。

> Forbesのカールガードがしきりに言う「Cheap Revolution」が進行中
> であるために、VCから資金調達などしなくても、ネット・サービスの
> かなりのところまでを、一人または数人のチームでどんどん作って
> いくことができるようになった。99年から2000年にかけてのバブル・
> ピーク時から最も大きく変化したのがこの点だろう。
> VCから資金調達せず(自己資金とせいぜいエンジェルからの少額の
> 投資で)、いきなり大手に買収されるだけのエンティティを作ることが
> できる時代になったのである。
>      ( http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050309/p1 )


ハリウッドの映画スタジオは、資金、あるいは、固有の資金源は
持っています。
しかし、チープ革命が進行したWEB2.0の世界では、資金さえ多くは
必要なくなってくるのです。

 関連記事:第146号「ハリウッドの映画のように」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/
 http://www.kei-it.com/sailing/146-060925.html

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[グーグルの衝撃] 日経「Web2.0革命の旗手たち」
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最近、日本経済新聞で「Web2.0革命の旗手たち」という記事が連載
されてます。
そこでは、「Web2.0革命の旗手たち」は、楽天の三木谷社長や
ライブドアの堀江元社長とは違って、金儲けよりも技術に興味がある
かのように描かれています。

> 「インターネットの草創期はネット好きのマニアが中心だったが、
> 事業として成功したのは経営がうまいビジネスマンだった」と
> 藤田は分析する。しかしWeb2.0という新技術の潮流は「再びネット
> 好きが活躍できる場を与えた」と言う。
>        (2006年9月21日 日本経済新聞 夕刊)


Web2.0革命の旗手たちが、1990年後半のITベンチャーと違って、
詐欺師まがいの資金調達をしなくなった理由は、彼らがお金に淡白な
技術屋だからというよりも、チープ革命が進行したため資金がそれほど
必要なくなったからでしょう。

 関連記事:第138号「1990年代後半からITバブル崩壊まで」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/07/1990it_4944.html
 http://www.kei-it.com/sailing/138-060731.html

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[グーグルの衝撃] IT革命論者が描く未来像
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起業に大資本が必要なくなっていることは事実です。

したがって、IT革命論者は未来を、個人または「個に限りなく近い
極小の存在」が活躍できる世界として描きたがります。

> 今後ますます続いていく「Cheap Revulution」は、「個に限りなく
> 近い極小の存在」にとっての朗報である。
>
> ( 梅田望夫氏 http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20050309/p1 )


IT革命論者は未来を次のように描きます。

・専門化された企業や個人が対等に水平分業しあう世界。
・系列的・固定的に密接に結合した垂直分業ではなく、市場原理で
 緩やかに繋がり合った世界。
・企業や個人がバラバラに動いても「見えざる手」が機能してうまく
 いくというアダム・スミス的世界。


それを技術的に実現するウェブサービスAPIが、RPC(リモート・
プロシージャ・コール)のような密接な結合ではなく、メッセージと
XMLによる緩やかな結合であるということも、上記イメージを強固に
しています。

IT革命論者は、インターネットの世界が超巨大な存在をさらに
超巨大にしていく世界であるということよりも、「個に限りなく近い
極小の存在」が活躍できる自由主義的、民主主義的な世界であることを
強調したがります。「ウェブ進化論」にもその傾向があります。

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[グーグルの衝撃] コア・コンピタンスを短期的に見てはならない
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IT革命論者が理想とするのは、米国流の「市場主義」「選択と集中」
「水平分業」であり、ハリウッドの映画制作のように必要に応じて
解散と再結成を繰り返す合目的的な組織です。

逆に彼らが嫌いなのは、総花的で自前主義的で終身雇用的な日本
企業です。


岩井克人氏も「会社はこれからどうなるのか」の中で、個々の会社が
自分のコア・コンピタンスを特定化することの重要性を説いています。

 関連記事:第115号「小さくなって大きくなる」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/02/post_c7c8.html
 http://www.kei-it.com/sailing/115-060220.html


しかし、岩井克人氏は同書で次の非常に重要な指摘もしているのです。

(1)コア・コンピタンスという概念をあまり短期的な視点から考えては
 いけない。

(2)外注先を広く市場に求めるのではなく、長期的な関係を結んでいる
 少数の会社に限定するほうが成功する場合もある。


(1)については、次号以降で解説します。
今週号では(2)のみ解説します。

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[グーグルの衝撃] 外注は市場から調達しないという手
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コア・コンピタンスを追求すれば、不得意な製品や部品の生産や開発
を他の会社に外注することは避けられません。
しかし、それは、必ずしも、外注する会社を広く市場に求めることを
意味しません。

> つねに技術を革新していかなければならないハイテク産業や、つねに
> 斬新な製品をお客様に提供していかなければならない消費財産業に
> おいては、急激な変化に迅速に対応していくためには、それぞれの
> 部品の供給者と、製造技術や製品デザインの細部についての情報を
> たえず交換していく必要があります。

そのような産業では、

> それぞれの部品ごとに、共同で技術を開発したりデザインを検討
> したりすることのできるごく少数の供給者と長期的な関係を築き上
> げていくほうが、広く市場から部品を調達していくよりも、長い目で
> 見れば、良い結果を生み出す可能性が高いというわけです。
>
>     (岩井克人氏著「会社はこれからどうなるのか」より)


また、今回は触れませんが、「会社はこれからどうなるのか」では、
ポスト資本主義であるが故の長期雇用の重要性、組織の重要性が
語られています。

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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

グーグルの衝撃シリーズ:
・ウェブサービス時代のソフトウェア会社のあり方

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
・IPOとゴーイング・コンサーン

財務系
・資産と費用

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・裁量労働制


次号は、10月9日発行予定です。

乞うご期待!!

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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年9月23日現在、550名です。


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