ロングテール
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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第143号 2006/9/04
▼ まえがき
▼ [グーグルの衝撃] ロングテールとは
▼ [グーグルの衝撃] ロングテール現象は標準化が前提
▼ [グーグルの衝撃] ニッチな規格品を安く売る人が恩恵を受ける
▼ [グーグルの衝撃] グーグルのアドセンス
▼ [グーグルの衝撃] 無に近いものの提供者とそれを集積するグーグル
▼ 次回以降の予告
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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。
第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。
このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。
「グーグルの衝撃」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー グーグルの衝撃」
( http://www.kei-it.com/sailing/back_google.html )を参照して
ください。
または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
左列にあるCategories「グーグルの衝撃」をクリックして
ください。
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[グーグルの衝撃] ロングテールとは
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今週号では、ロングテールについてお話します。
ロングテールは、WEB2.0の話をするときに必ず出てくるキーワードで、
一般的には次のように説明されます。
> インターネットを利用したネット販売などにおいては、膨大な
> アイテム(商品)を低コストで取り扱うことができるために、ヒット
> 商品の大量販売に依存することなく、ニッチ商品の多品種少量販売に
> よって大きな売り上げ、利益を得ることができるという経済理論。
>
> ( http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/longtail.html )
ロングテールが、「インターネットの本質に関わる極めて重要な問題
提起を含んでいる」(梅田望夫氏)ということは事実でしょう。
しかし、ロングテール現象を正しく理解するためには、まずインター
ネットの基本的性格を理解する必要があります。
ロングテール現象とは、インターネットの基本的性格の上で起きている
現象ですから。
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[グーグルの衝撃] ロングテール現象は標準化が前提
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ロングテール現象を「規格外の製品、非標準の製品がインターネット
で売れるようになった」と理解しているとしたら、それは誤りです。
ロングテール現象の大前提として標準化、規格化があるのです。
> インターネット企業初の最大店舗は書籍の販売店だった。
> 書籍は最も古くから大量生産されている日常的製品だ。
> 見事に標準化され、ある版の書籍は次に出る版のそれとほとんど
> 変わらない姿をしている。
>
> (ブラウン, ドゥグッド著「なぜITは社会を変えないのか」より)
アマゾンが成功したのは、書籍がもともと「見事に標準化された」
製品だったからです。
標準と規格に対する信頼があるからこそ、デルもインターネット上で
受注生産ができるのです。
規格化されていないものはたとえアマゾンと言えども、売りづらい
のです。
規格化されていないものの品質をアマゾンが保証しなければならない
からです。
例えば、同じ本でも古本には「本の汚れ」「希少性」といった規格化
されていない要素が入りこみます。
したがって、新刊書にはない難しさが出てきます。
> アマゾンは最低価格の書籍を薦めるという保証のもとに絶版書の
> 検索をするボット(注)を提供しているのだが、このサービスを
> 利用した人は市場の最低価格でない本をよく薦められるという苦言を
> 呈している。
> (ブラウン, ドゥグッド著「なぜITは社会を変えないのか」より)
(注)ボット:人工知能エージェント
ロングテール現象とは、より正確に言うと、
「標準化が進んだ世界のネット販売では、ヒット商品の大量販売に
依存することなく、『ニッチな規格品』の多品種少量販売によって
大きな売り上げ、利益を得ることができる」
ということなのです。
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[グーグルの衝撃] ニッチな規格品を安く売る人が恩恵を受ける
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もう一つ理解しておかなければならないことは、インターネットでは
低価格が決定的な購買動機になるということです。
インターネットは規格品の価格の比較は得意です。
しかし、サービス(例:店員の態度、料理人の腕前)や品質(例:
本の中身、靴の履き心地)の比較は苦手です。
そこには主観的な要素が入ってくるからです。
低価格ではなく、気のきいたサービスや高い品質を売りにしている
サービスや製品は、もともとネット販売には向いていません。
これはロングテールに対しても作用するインターネットの本質的な
性格です。
したがって『ニッチな規格品を低価格で提供している人』が、最も
ロングテール現象の恩恵を受けることになります。
(本当に最も恩恵を受けるのは、プラットフォームを提供している
アマゾンやグーグルなどでしょうが・・・。)
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[グーグルの衝撃] グーグルのアドセンス
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「ロングテール現象は標準化が前提」と書くと、次のように反論
されるかもしれません。
「本を売っているアマゾンではそうかもしれないが、グーグルの
アドセンスは違う。アドセンスは標準や規格に関係なくどんな製品
でもバーチャル市場に出せる。」
アドセンスについては私には梅田望夫著「ウェブ進化論」で得た
知識しかありません。
「無数のウェブサイトの内容を自動識別し、それぞれの内容にマッチ
した広告を自動掲載する登録制無料サービス」だそうです。
自動マッチングされたアフェリエイトのようなものでしょうか。
しかし、それを利用して普通の人がどれだけ稼げるというのでしょうか?
少ししか稼げないということは、梅田望夫氏も認めています。
> 月に10万円稼ぐにはテーマ性の高い人気サイトを作らなければ
> ならないからたいへんだが、月数万円規模ならば少々の努力で、
> 月数千円規模ならばかなりの確率でたどりつく。
>
> (梅田望夫著「ウェブ進化論」より)
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[グーグルの衝撃] 無に近いものの提供者とそれを集積するグーグル
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梅田望夫氏はアドセンスで少ししか稼げないことをむしろ肯定的に
考えています。
彼が言わんとしていることは次のようなことです。
「個人にとっては月数千円でもありがたいはずです。
グーグルは全世界の人々に小遣い稼ぎをさせてやって、そこから
ほんの少し徴収します。
全世界から広く浅く徴収するので、グーグルは莫大な利益を得る
ことができます。」
> わずかな金やわずかな時間の断片といった無に近いものを、無限大に
> 限りなく近い対象から、ゼロに限りなく近いコストで集積できたら何
> が起こるのか。ここに、インターネットの可能性の本質がある
>
> (梅田望夫著「ウェブ進化論」より)
そこは、「わずかな金やわずかな時間の断片といった無に近いもの」を
ほんの少しの報酬で提供する大衆と、それを集積して莫大な利益を生み
出すグーグルの世界です。
その世界で、中小ソフトウェア会社はどのようにして生きていったら
よいのでしょうか?
第141号で「その世界で利益を上げていくためには、他の会社が容易に
模倣できない独自の差異性を創造し維持し拡大していくしかありません」
と書きました。
第141号:
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/08/post_a37c.html
または、http://www.kei-it.com/sailing/141-060821.html
次号以降では、この点についてもう少し具体的に考察します。
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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。
グーグルの衝撃シリーズ:
・ウェブサービス時代のソフトウェア会社のあり方
ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・取引コスト
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
・IPOとゴーイング・コンサーン
財務系
・資産と費用
法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権
労務系:
・裁量労働制
営業系:
・売れる営業マン
次号は、9月11日発行予定です。
乞うご期待!!
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本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。
したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。
また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年9月2日現在、547名です。
本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非
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(以下をそのまま転送するだけです。)
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